サービス改革担当者・CS推進担当者の学びの場

「価値ある事前期待」の発想のヒントを教えて!

たすけて、松井さ~ん。この間、教えてもらった「 価値ある事前期待の見つけ方」の話をして、チームで話し合ったんですけど、全然まとまりませ~ん。

まとまらないって、どういう風にですか?事前期待の階層を探っても、潜在ニーズを発見できませんでしたか?

そこなんですよ。「潜在ニーズ」って、文字通り潜在しているから、「これがお客さまのニーズだ!」って、誰も言い切れないじゃないですか。

ああ、たくさん意見が出てもこれといった決め手に欠ける、ということですね。なるほど。
では今日は「価値ある事前期待」の見つけ方のヒントをお話しますね。

「潜在ニーズを見つけろ!」できれば格好良いですが、言うは易しですが、そう簡単ではありません。潜在的なもの以外にも、価値のある事前期待を見つけるヒントはたくさんあります。たとえば、お客様にとってその事前期待が顕在化しているのか、潜在的なものなのか、サービス提供者にとって顕在化している事前期待かどうかという観点で分類してみます。

お客様とサービス提供者の両者にとって潜在的な事前期待である「思いもしなかった事前期待」です。こういった事前期待は、サービス提供者がお客様と双方向にやり取りをしながら、潜在的に期待していることを引き出したり、気付きを促すことで、顕在化させていくプロセスが大切です。

対して、既に顕在化している事前期待(共通的、個別的、状況で変化する事前期待)の中にも、価値ある事前期待を見つけることができます。それは「満たされていない事前期待」です。たとえば一般的に、状況で変化する事前期待に100%応えることは難しいために、このタイプの事前期待には「満たされていない事前期待」が多く存在します。気の利くサービスや、あったらいいなと思うサービスは、こういった満たされない事前期待に応えることで生み出すこともできるのです。

続いて、顧客にとっては顕在化している一方で、サービス提供者にはそれが見えておらず潜在的な事前期待になっています。その代表例が「諦めている事前期待」です。顧客には、「ここまではさすがに期待しすぎだよね」と、諦めている事前期待があるものです。顧客が「諦めている事前期待」に対して、「諦めなくてもいいですよ。私たちがそれにしっかりお応えします」と言えるサービスは、新たな価値を生み出すことができるのです。

最後は、顧客にとっては「潜在的」であっても、プロであるサービス提供者にとっては想定の範囲内である「よくある潜在的な事前期待」です。たとえば、法人向けサービスで、クライアント企業の担当者が上司に報告するための相談にまで乗ったら、「こんなことまで対応してくれるなんて」と感激してもらえるうえに、その上司もサービスの価値を実感できる報告を受けられるので、リピートオーダーがいただけるという具合です。

「社内への報告まで支援してほしい」というのは、サービス提供者としては、顧客がよく抱いている事前期待だということを、経験的に知っているのです。こういった事前期待は、ベテランやセンスのいいスタッフが経験知としてとらえていることが多いので、組織内で成功事例を共有してみると見つけることができます。

このように、価値ある事前期待のキーワードを利用すれば、価値ある事前期待を見つけるヒントになるはずです。

どうですか?今度こそ、決め手になる「価値ある事前期待」は見つかりそうですか?

そうですね。今のチームなら、案外「よくある潜在的な事前期待」に思い切って応えてみるのもありかなあ、という気がしてきました。

それはいいですね。優秀な担当者ならすでにできていることを、チームで共有化してみんなができるようにするのも、十分「潜在的なニーズ」に応えることになりますよ。

はい!その方向でもう一度、チームで話をしてみます。ありがとうございました!

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