サービス改革担当者・CS推進担当者の学びの場

顧客満足度調査の着目点は?

谷口さん。そろそろサービス改革の結果はでてきましたか?

うーん、まあまあですかね~。顧客満足度アンケートの集計をしたら、スコアはあがってるんです。でも、なんだか実感がないんですよね。

実感というと、具体的にはどういうことですか?

なんていうか、「満足」という声が多い割には、リピートしていただけていない気がするんですよね。

ああ、なるほど。調査項目は、大満足、満足、ふつう、不満足みたいな感じでしょう?そうすれば自動的に「満足」が多くなりますからね。

別に満足していなくても、儀礼的に「満足」と答えている人が多いということですか。

人間にはそういう傾向があるということです。
だから、顧客満足度調査で着目するべきは、そこではないんです。

「顧客満足度のスコアが向上しているのに、リピートが増えなくて困っています。」

最近このような相談が多くなっています。顧客満足向上の目的のひとつは、リピートオーダーやロイヤルカスタマーを増やすことです。

しかし、顧客満足向上に取り組んできた企業の中には、顧客満足のスコアが向上しているのにリピーターやロイヤルカスタマーが増えなくて悩んでいることがあります。

なぜ顧客満足が向上してもリピートが増えないのでしょうか。その謎を解くためには、顧客満足度とリピートオーダーの可能性の相関関係について理解する必要があります。

多くのマーケット調査や、当方が支援した事業者の調査結果の傾向から、次のようなことがわかります。

「顧客満足度が高まるにつれて、リピートオーダーの可能性が比例的に高まる」という考え方はまちがっています。

  • ◆顧客満足度が「不満(1点)」から「やや不満(2点)」、「普通(3点)」、「やや満足(4点)」と高まっても、リピートオーダーの可能性はほとんど高まっていない。
  • ◆「大満足(5点)」になってはじめて、リピートオーダーの可能性が急激に高まる。
  • ◆「やや満足(4点)」と答えた顧客の、実に97%以上がリピートしない可能性がある。

リピートオーダーを得るためには大満足あるのみということです。

リピートオーダーを増やすことを目的にした顧客満足向上であるならば、「やや満足」を増やしても意味がなく、「大満足」に価値があることを肝に銘じる必要があると言えます。

このことを理解したうえで、これまで取り組まれてきた顧客満足度調査を振り返ってみると、少し筋ちがいだった点が見えてきます。
それは、平均値に着目してしまっていることです。

あるいは、大満足とやや満足を合算して、「満足度が80%もある」と安心してしまっていることです。

たとえば、5段階評価(1点:不満~5点:大満足)で顧客満足度を調査した結果を見て、「昨年の我が社の顧客満足度は平均値が3.2点だったので今年は3.7点を目標にしよう」として取り組みます。

1年間必死に取り組んだ結果、見事に顧客満足度の平均値が3.2点から3.7点に向上したにもかかわらず、肝心のリピートオーダーは大して増えないといった具合です。

このように平均値に着目して取り組んでも、うまく成果につながりません。
なぜなら、先述した通り、大満足でなければリピートオーダーはいただけないからです。

「大満足」ですか~。これは一筋縄ではいかなそうですね。
よく考えないと。

そうですね。得点を増やすことの最大の目的は、「大満足」のお客さまをふやすことなんですよ。

ありがとうございます。「大満足」を増やすにはどうすればいいか。みんなでよくよく考えてみます!

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