サービス改革担当者・CS推進担当者の学びの場

サービスイノベーションの3つの力(1/3)~きっかけは「まぐれ当たり」~

イノベーションのきっかけは「まぐれ当たり」

サービスイノベーションを実現した企業の経営者と議論をさせていただくと、優れたサービスを生み出すきっかけは、些細な出来事にあることが多いものです。

クリーニング会社の喜久屋は、お客さまに喜んでもらおうと思って取り組んだスピード仕上げキャンペーンで、「取りに来るのが遅くなってごめんなさい」とお客様に謝られてしまいます。これに違和感を感じたことが、お客さまに納期を決めてもらうという逆転の発想に繋がり、そこから新サービスの種が多く見つかりました。

住宅会社のフォレストコーポレーションでは、自分の家に使う木を、家族で山に入って選んで伐るところから参加する家づくりサービスで感動を生んでいます。そのきっかけは、自宅の庭の木を使って家づくりをしたいという顧客の要望に応えたところ、今までの家づくりとは違う家族の温かい繋がりが生まれ、「おや、今までの家づくりと何か違う。何かいいなぁ」と感じたところにありました。

このように、サービスイノベーションのきっかけは、「まぐれ当たり」だといえます。たまたま感じた「おやっ」「もやっ」「ハッ」という出来事に、気付きを得ているのです。

まぐれ当たりを「見つける力」

つまり、サービスイノベーションの最初の一歩には、まぐれ当たりを「見つける力」が大切です。これがサービスイノベーション1つ目の力です。ビジネススクール的に表現すると“INSIGHT”という言葉になろうかと思います。ただし、実際はインサイトという言葉の響きほど格好の良い感覚ではなく、「たまたまだと思うけど、なんか気になる」といったモヤモヤした感じで、“まぐれ当たり”という表現の方が近い気がします。

では、どうしたら見つけることができるのでしょうか。

ひとつは、当CS寺子屋でサービスの本質として取り上げてきた「事前期待」へのアンテナの感度を高めることや、価値ある事前期待の的を見定めることだと思います。事前期待への関心や仮説を持つことが、既に目の前で起こっている「まぐれ当たり」に気付かせてくれるはずです。

もうひとつは、フォレストコーポレーションの小澤社長の言葉にヒントがあります。

―ブルーオーシャンは考えて見つかるものではないと感じています。リーマンショックがきっかけで住宅事業に軸足をシフトして、大手競合ハウスメーカーが軒を連ねる住宅展示場に飛び込んでモデルハウスを出しました。あえてレッドオーシャンに飛び込んだことで、お客様の反応から、うちはあえて大手の土俵で戦った方が良さが際立つのではないかと感じることができました。

つまり、厳しい競争環境や今までの常識が通用しない領域でチャンスを掴みにいくことから逃げないで飛び込むということも、まぐれ当たりの遭遇確率を高めてくれます。

たとえば、親会社やビッグクライアントからの仕事に頼ってる会社は、新規クライアントからの取引を増やすために、外の厳しい競争環境に飛び込んでみる。顧客接点を持つことにネガティブな業界であれば、新幹線清掃会社のTESSEIのように、積極的に顧客に会ったり、サービスを見てもらったり、魅せる工夫をしてみる。右肩下がりの衰退業界であれば、クリーニング会社の喜久屋や旅館の陣屋のように、業界の常識への違和感にこだわってみる。あえて厳しい環境に身を置くことで、価値あるまぐれ当たりに出会えるのではと思います。

さて、まぐれ当たりを見つける力だけでは当然イノベーションは実現しません。あと2つの力も理解することで、サービスイノベーションが実現しない課題が明らかになります。次回は、サービスイノベーションを諦めたくなる理由にも触れたいと思います。

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