サービス改革担当者・CS推進担当者の学びの場

現場がイキイキする原動力~CSとESを同時に高める仕組み(1/2)

ES(従業員満足)やエンゲージメント、インナーブランディングというテーマと連動してサービス改革を進めることが近年増えてきました。

「ESとCSはどちらが先ですか。」とよく聞かれます。海外ではサービスは辛い仕事だと捉える意識があり、従業員満足が高くなければ顧客を大切にできないと言われています。つまり、「ESが先、CSが後」という考え方です。もちろん一理あります。しかし、私はサービス改革を進める中で、必ずしもそうではないと感じます。 

ESとCSを別物扱いしない

実は、日本サービス大賞を受賞した住宅会社フォレストコーポレーションや新幹線の清掃会社TESSEIなどいくつもの事例から、日本の優れたサービス経営においては「CSとESは同時に高める」ことができると分かります。受賞企業の経営者の中には、一瞬でもどちらが先かと問われたら「CSが先」と断言される方も。CSとESを同時に高められるようにするのが、経営やマネジメントの仕事であり、サービス経営のしくみの役割のひとつだといえます。

でも具体的にはどうやってCSとESを橋渡しするのでしょうか。 

CSとESを橋渡しするフォレストコーポレーションの事例

先日、埼玉県生産性本部が主催する新春労使懇談会で、サービス経営改革について講演の機会をいただきました。そこで、株式会社フォレストコーポレーション(第1回日本サービス大賞の地方創生大臣賞を受賞)の小澤社長が、サービス改革の成功事例講演としてご一緒くださいました。

フォレストコーポレーションは長野県の住宅会社で、「せっかく一生に一回の家をつくるなら、家族で山に入って自分の家に使う木を一本選んで伐るところから参加しましょう」と、お客さま参加型の家づくりサービスを提供しています。木を伐ることで家づくりが家族の大切な物語に変わっていく“家づくりは家族づくり”をコンセプトに、顧客と感動の家づくりを共創しています。大手ハウスメーカーと真っ向勝負をして勝ち抜いており、事業は8年で3倍に。また、従業員の働きがいランキングも毎年ランクインしている素晴らしい会社です。
(フォレストコーポレーションの事例はこちらのコラムをご覧ください。)

会場からは、「従業員のやる気を引き出すにはどうしたら良いか」との質問が相次ぎました。「同期に負けたくない」「出世したい」「お金持ちになりたい」というような競争意識や自己実現欲求では、最近は動機づけできない従業員が多く、どうしたらモチベーションを高められるのかと悩んでいる方もいらっしゃいました。
そこで私なりに、フォレストコーポレーションのサービスのしくみをひも解いてコメントさせていただきました。

2つのサイクルでCSとESを橋渡し

1つ目のポイントは、家づくりプロセスの組み立てにあります。
たとえば、山に入って自分の家に使う木を選んで伐る「選木ツアー」。家を建てるエンドユーザーが、林業従事者である山守(やまもり)が管理する山に入って木を選んで伐ります。たった1本の木を伐っただけで涙する顧客や、「山守さんってカッコいい!」と喜んでくれる子供たちと直接触れ合うことで、山守さん自身、林業の仕事への誇りと自信が高まります。

家をつくり始める「着工式」には、関わる従業員や職人が全員そろって意気込みを語ります。そして顧客と一緒に家づくりを進め、完成した際の「引き渡し式」。感動で涙する顧客の姿を目の当たりにして、思わず目頭が熱くなる従業員や職人も多いそうです。

このように、顧客接点での成功体験を仕事の「やりがい」や「存在意義」に結びつけるサイクルが回っているのです。

2つ目は、事業マネジメントのしくみにあります。
3ヶ月毎のサイクルで推進される目標制度。最初に目標設定し、2ヶ月目はチャレンジ状況について経営と中間面談、3ヶ月目の終わりに成果発表をします。このしくみをチームごとに小まめに繰り返しています。これにより、皆で協力し合って目標達成するという仕事の成功体験を、自分たちが事業を作っているんだという「自覚」と「自信」に結びつけるサイクルが回ります。

この2つのサイクルが相まって、フォレストコーポレーションには、「顧客との共創」や「変化へのチャレンジ」に前向きでイキイキとした顔色の従業員が多いのです。さて、このフォレストコーポレーションの事例から「CSとESの橋渡しの仕方」が見えてきました。次回、さらに具体的な方法を整理したいと思います。

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