谷口さん、こんにちは。サービス改革プロジェクトの進捗はいかがですか?
松井さん~、それは聞かないでください~。
プロジェクトのメンバーはやる気まんまんなんですけど、現場の、特にベテランの人たちにはなかなか伝わらなくって。
というと、反対する人がいるんですか?
反対というより、関心をもってもらえないというか。
ベテランの人にも、やり方を変えてもらうにはどうすればいいんでしょうね。
ああ、サービス人材育成でぶつかりがちな壁ですね。
そこなんです。プロジェクトメンバーは若手が多いので、ベテランに対して「人材育成」と言われても、どうしていいのやら困ってしまうんです。
なるほど。まずはサービス人材育成の考え方そのものにテコ入れをしないといけないですね。
では、今日はそのお話をしましょう。
サービス人材育成のテコ入れのためには「思い込み」のレッテルをはがす必要があります。
“若手向け”のレッテルをはがす
「サービスの人材育成?そんなの若手向けでしょ?」とレッテルを貼っていないでしょうか。もちろん、若手の育成は大切ですが、むしろ、中堅以上のサービス事業の推進役こそ、サービスの本質を捉えて変革推進力を高めるべきです。
多くの企業では、経営マネジメント層やベテラン社員がサービスの本質を捉えずに経験とセンスと価値観に頼ってサービス事業を運営しています。これでは、サービス事業の成長力や競争力を高めることはできません。
“失点撲滅”のレッテルをはがす
これまでのサービス人材育成は、“失点しないこと”が中心でした。当たり前のことをできるようになるための研修ばかりでした。もちろん失点しないことは大切が、顧客にしてみれば、失点しないサービスであることは当たり前です。
サービス事業の成長を加速するためには、“得点”を増やすためのサービス人材育成にステージアップする必要があります。失点しないための人材育成に縮こまっている場合ではないのです。
“OJT頼み”のレッテルをはがす
OJT(On the Job Training)という言葉を都合よく解釈して、「経験を積みなさい」「背中を見て学びなさい」と、サービス人材育成を現場や個人に任せきりにしていないでしょうか。
たしかに、サービスは経験がモノを言うため、個人の経験やセンスを磨くことは大切です。ただし、組織的な人材育成が難しそうなのでOJTに甘えているというケースも少なくありません。いまこそ、組織的にサービス事業をリードできる人材を育てるべきです。
“サービスは目に見えない”のレッテルをはがす
たとえば製造業では、製品の設計に熱心に取り組んでいます。一方のサービス業に、目に見えるサービス設計はあるのでしょうか。「サービス設計部」という部署すらない会社がほとんどです。実に曖昧なサービス設計のもとで、サービスの開発や人材育成が行われているというわけです。
これでは、サービス事業が思うように展開できないのは当然の結果といえます。サービスの価値を高めるためにも、サービス人材育成のためにも、サービスの設計は欠かせません。
このようにさまざまな「思い込み」が、サービス人材育成への諦めや足かせになっています。まずは自分たちが勝手にサービスについてレッテルを貼り、組織的な人材育成を諦めていたかもしれないことに気が付くことがそのテコ入れの第一歩といえます。
「思い込み」レッテルですか~。 確かに、現場には若手向けのOJTこそが人材育成だと思っている人が多いですね。
まずそこからですね。サービス改革はすべての人を対象に、組織的な人材育成に取り組むということが伝わりやすい方法を考えてみてはどうでしょうか。
ありがとうございます!みんなで考えてみますね!