谷口さん、こんにちは。なんだか苦しそうですが、大丈夫ですか?
あ、松井さん、こんにちは。
今日、はじめてランチに行ったお店が、サービスだからって頼んでもいないサイドメニューをいろいろ出してくれてしまって。
それでついつい食べ過ぎた、ということですね。
だけど、なにも苦しくなるまで食べなくてもよかったんじゃないですか?
うーん、そうなんですけど。
出されたものは残さず食べるようきつく言われて育ったので、いまだに残すことにすごい抵抗があるんですよね。
なるほど。確かにそういう人にはつらいかもしれませんね。そのランチのお店は「サービスとはなにか?」をわかっていないということですね。
そこなんです。今、私たちもサービス改革を進めているじゃないですか。今日のランチみたいな、余計なお世話になっていないか心配になってきました。
ははは。心配性ですね。では「サービスとは何か?」という問いに、もう一度、立ち返ってみるのもいいかもしれませんね。
「サービスって何でしょうか?」日夜サービスについての議論をしていたり、長年サービス向上の取り組みを進めてきた企業でも、「サービスの定義は?」と問われると、うまく答えられなかったり、人によって違う答えが返ってきます。
多くの場合、サービスは「無料」とか「おまけ」、あるいは「接客」や「キャンペーン」のように捉えている企業が多いものです。言い方を変えると、「“サービス”は本業とは別物」という扱いがされているのです。明らかなサービス業ですら、このような状況です。
「サービスの定義」すら組織で共通に認識していない状況では、議論や活動が噛み合いません。ましてや成果や変化が生み出せないのは当然です。サービス改革の第一歩は、サービスの定義とその本質を理解するところから始まるのです。
また、「我が社はサービス業である」という意識を高めることで、サービス改革を推進する企業が増えています。それは、製造業であってもです。いまやすべての産業がサービス業化している中で、サービスとは何かを理解することは、欠かせません。
サービスは次のように定義します。
人や構造物が発揮する機能で、お客様の事前期待に適合するものをサービスという
私たちは普段、顧客に様々なことを提供していますが、それが無条件に全てサービスと呼んでもらえるわけではないのです。この中で“お客さまの事前期待に適合するものだけ”をサービスというのです。
裏を返すと、いくら私たちが良かれと思って顧客に提供したことであっても、お客さまの事前期待に適合していなければ、もはやサービスとは呼んでもらえないことになります。では、何と呼ぶのか?それは、「余計なお世話」や「迷惑行為」「無意味な行為」と呼ばれてしまうのです。実に残念ですよね。
サービスを考える際に、つい「なにをやったらいいのか」「どんなサービスを開発したら良いのか」と打ち手ばかり考えがちです。しかしサービスの定義を理解すれば、打ち手を考える前に、「どういう事前期待に応えるべきなのか」を見定めなければならないと分かります。いくら「これだ!」と思った打ち手であっても、顧客の事前期待を捉えなければ、空振りに終わるのです。
みなさんのサービスは、どんな事前期待に応えるサービスですか?自社サービスを、事前期待で再定義してみることから、サービスの取り組みは始まるのです。
ありがとうございました。キーワードは「お客さまのどの事前期待に応えるか」ですよね。そこは忘れていません。
それなら大丈夫ですよ。
ランチのお店は谷口さんの事前期待とはまったく合わなくて残念でしたが、谷口さんたちのサービス改革の方は順調そうですね。安心しました。
今回のポイント
顧客満足は事前期待と実績評価の「相対値」で決まる