Q:どの事前期待に応えるかってどうやって決めればいいんですか?
松井さ~ん。この間、教えてもらった「どの事前期待に応えるかを明確にする」って、どうすればいいんですか?
考えだしたら余計、わからなくなってきちゃいました。
ははは。そこからでしたか。じゃあ改めて、お客さまの事前期待をどのように考えるのか、から説明しますね。
事前期待には4つの種類があります。すべての顧客に共通する共通的な事前期待、顧客ごとに異なる個別的な事前期待、同じ顧客でも状況によって変化する事前期待、顧客自身が思ってもみない潜在的な事前期待の4つです。それぞれの中身について詳しく説明します。
(1)共通的な事前期待
これは、すべての顧客に共通する事前期待です。たとえば、ホテルでは「清潔な部屋に泊まりたい」と、すべての顧客が思っています。この事前期待に応えるために、抜けやバラツキのないサービスを提供するための、「マニュアル」や「チェックリスト」の活用が有効です。
しかし、この共通的な事前期待に応えることは、顧客にとっては「当たり前」です。そこで重要なのが、以下の事前期待に応えることです。
(2)個別的な事前期待
顧客一人ひとりで異なる事前期待のことです。たとえば、ホテルの枕は「厚手が良い」「羽毛で薄いものが良い」と、顧客ごとに事前期待は異なります。この種の事前期待に応えるために、「顧客カード」や「顧客データベース」を活用します。
すでに顧客データベースを持っていても、顧客データの内容が年齢や住所などの属性情報しかなくて事前期待の情報が共有されていないことが多いものです。「サービスは顧客と一緒につくるもの」だからこそ、サービスの現場で個別的な事前期待の情報を役立たせることが重要です。
(3)状況で変化する事前期待
同じ顧客でも、状況によって事前期待は変わります。こういった事前期待には、顧客データベースなどの仕組みだけでは応えられません。そこで必要となるのが、顧客の状況を敏感に察知するための共感性や着眼点を身につける教育やトレーニングです。
(4)潜在的な事前期待
これは顧客自身も思いもよらない事前期待です。「こんなことをしたら感動していただけた」という成功事例を組織で共有することです。そうすることで、別のスタッフが同じ場面に出くわしたときに、感動サービスを再現できるチャンスが増えるのです。
ただし成功事例は、「何をしたのか」だけではなく、「どんな事前期待をどうやってとらえたのか」、事前期待の観点で分析を添えて共有すると、感動サービスを提供できる可能性が高まります。
このように事前期待の持ち方には4つの種類があります。顧客から高い評価を得るためには、特に個別的な事前期待・状況で変化する事前期待・潜在的な事前期待に応えることが有効です。千差万別の顧客の事前期待を漠ととらえるよりも、シンプルに4つに分類することで理解が進むのではないかと思います。
どうですか?少しは手掛かりがつかめそうですか?
そうですね。マニュアルやチェックリストでは足りない部分が肝心なんですね。お客さまから「ありがとう」と言ってもらえた事例を集めてみようかと思います。
それはいいですね。具体的にこんなことが喜ばれるという事例がたくさんあるとオペレータさんたちもやりやすくなると思いますよ。がんばってくださいね!
今回のポイント
お客さまの事前期待はシンプルに4つに分類して考える