サービス改革担当者・CS推進担当者の学びの場

価値ある事前期待の見つけ方

Q:価値ある事前期待はどうやって見つけるの?

おや、谷口さん、また悩んでいるようですね。今度は、どうしましたか?

あ、松井さん。この間、「事前期待って何ですか」で「お客さまの事前期待はシンプルに4つに分類して考える」って、おそわったじゃないですか。それで、いろいろやってみたんですけど…。

その様子じゃ、あんまりうまくいっていないということですね?

そうなんです。お客さまにありがとうと言っていただいた事例を集めても、バラバラすぎて収集がつかないし、それで?っていう感じになってしまって。

では、どうやって価値ある事前期待を見つけるのかを、一緒に考えてみましょう。

事前期待には4つの種類があることを理解したら、どんな事前期待に応えるべきかを考えます。「当たり前な事前期待に、皆できっちり応えよう。」これはとても大切なことですが、それだけで顧客が積極的にこのサービスを選び続けてくれるわけではありません。

事業の成長力や競争力を高めるためには、「価値ある事前期待」に着眼しなければなりません。いったいどうしたら、価値ある事前期待が見つけられるようになるのでしょうか

議論をしてみると気が付くと思いますが、事前期待は階層構造をしています。顧客が表面的な事前期待を持つ理由を考えると、より深い階層の事前期待を見つけることができます。深い階層の事前期待が分かれば、そこからいくつもの表面的な事前期待が派生していることが分かります。

さまざまな表層的な事前期待に応えるために、まるで1000本ノックのようにアレコレと努力するより、深層の事前期待をとらえて、それに応える方が効果的にサービスを磨き上げることができるのです。

たとえば、外食サービスにおいて、「素材にこだわっているお店で食事がしたい」という顧客の事前期待に着目して、その理由を考えたところ、「子どもの健康を中心に食を考えたい」という深層の事前期待が見つかったとします。

この事前期待からは、素材へのこだわり以外にもさまざまな表面的な事前期待が派生しています。「禁煙のお店がいい」「子どもとの利用を歓迎してくれるお店がいい」「子どもの好き嫌いをなくしたい」などです。

この場合、「素材へのこだわり」という表面的な事前期待より、深層の「子どもの健康を中心に食を考えたい」という事前期待を中心に考えた方が、サービスに広がりが生まれます。

もちろん、あまりに深層の事前期待には、「幸せになりたい」というような、サービス事業としてどう応えたらいいのかわからないものもあるため、闇雲に事前期待を深堀りすることがいいとは言えません。

しかし、表面的な事前期待だけを捉えてしまうよりも、事前期待は階層構造をしていることを理解して、その階層を行き来してみることで、価値ある事前期待を見つけやすくなるのではと思います。

なるほど。「ありがとう」の事例を集めるだけでなく、どうしてそう言っていただけたのかを、もっとみんなで議論して、本質的な事前期待を探るということなんですね。

そうなんです。ご利用いただいているお客さまに共通する、本質的な事前期待をしっかり考えてみてください。
きっと、サービス向上のヒントが見えてきますよ。

今回のポイント

事前期待の階層を行き来して、価値ある事前期待を見つける

   

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